本を読んで考える

本を読んで自分の頭で考える。読書日記。

読んだら忘れない読書術 / 樺沢紫苑 を読んで「記憶するための読書術」について考えた

読んだ本

読んだら忘れない読書術

読んだら忘れない読書術

  • 作者:樺沢紫苑
  • 発売日: 2015/04/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

目的

  • 読んだ本の内容を覚えたい

考えたこと

「結晶化された知識」としての本

単なる羅列された文字情報ではなく、実践可能、応用可能で行動につながり、10年たっても風化することのない「結晶化された知識」を得られるのが「本」なのです。

(p.24より引用)

何千,何万もの先人たちが自分たちの経験や知識を体系付けてまとめたものが本.著者の樺沢さんは人生の悩み事は本によって解決されると主張している.

確かに,人生のヒントは本に書かれていることが多い.私の場合は中学校時代に,人間関係に悩み自分を見つめ返すために読んだ「孔子」や,高校時代に効率良く本を読むためにはどうすれば良いのかと悩んだ時に手を伸ばした「日本速読協会の本(題名忘れた)」,大学院時代に何をするのが人生の目的なのかについて考えた時に読んだ「幸福について / ショーペンハウアー」など,思い返せば人生の貴重なヒントをくれたのは本であった.

良い本は時間や言語の壁を超えて受け継がれていき,多くの人が本によって人生のヒントを得てきた.これは真理だと思う.

これからも困った時は本も頼ろうと思う.

記憶に残る読書

本書では,読んだことを記憶に残すための手法がこれでもかというくらい書かれている.著者は医者であるため,理にかなったことが書かれておりとても参考になった.

本に書かれている手法を1つ1つ書くことは問題があるのでしないが,要するに「脳内物質」を有効に活用せよとのことが書かれていた.

ノルアドレナリンドーパミン、エンドルフィンなどの記憶力を高める脳内物質を意識的に分泌させることで、本の内容を鮮烈に、そして長期記憶してしまおう!

(p.84より引用)

何事も鵜呑みにせず,自分なりに考え,自分にあったものにすることが大切だと思う.そこで,著者の考える方法も踏まえ,私なりに記憶に残すための読書術を考えてみた.

そういえば小学生の頃に能力開発の習い事を習っていたことがある. その際に習ったことも思い出しつつ統合できればなと思う.

作るために脳内について調べようと思ったところ,本書の著者の本が見つかった. マーケティングが上手いなと思った.

記憶に残る情報

本書では要するに脳内物質をうまく活用して記憶に残せと言っていた. 記憶術系の本でも同じようなことがよく書かれており,脳の構造や特性を理解することは大切である.

本書で触れられていることと私の経験を照らし合わせて整理すると,記憶に残りやすい情報の条件は以下のようになる.

  • インパクトがある
  • 大きな感情を伴う
  • 自分の持つ他の知識と関連付けられる
  • 何度も繰り返し使われる

これらを一つ一つ見ていこう.

インパクトがある

能力開発の塾に行っていた時には,いかにして情報をインパクトのあるものにするかを練習した. 記憶として残るのであれば,ふざけた語呂合わせ作りや落書きもどんどんするべきであると習った.

私自身これが一番身にしみた経験として,センター試験の地理で起きた出来事がある. 私の場合,地理は受験に関係がなかったため高校の授業以外で地理を勉強したことがなかった. また,主要教科に時間を割きたかったため,授業以外での勉強時間も全くしなかった. 高校二年生の時に全5回あった中間,期末テストの日の朝に40分ずつくらい振り返りをしただけだった. それにもかかわらず,記念受験したセンター地理で82点となかなかの高得点だった. もちろん,センター前に復習など一切していない.

なぜ授業でやっただけの地理が2年間(浪人した)も復習せずに記憶に残ったのか. これは授業中にやっていた落書きのおかげであると考える.

当時の私にとって,地理の授業はとても退屈だった. そこで暇つぶしに,出てきた民族や動物など,絵に変換できるものはかたっぱしから落書きとしてプリントに書き込んでいった. 地名や分類については,ふざけた語呂合わせを作って落書きとともにプリントに書いた.そうすると退屈な授業も楽しくなった. この落書きや語呂合わせのインパクトが強かったおかげで,10年以上たった今でも記憶に残っている.

このように,情報を自分で勝手にインパクトのあるものに直して覚えることは有効である. (フランシスコ・ザビエルのヒゲの部分に目を書き込んでひっくり返すとペンギンになる.小学生の頃に教科書に落書きしたが,これは今でも鮮明に記憶に残っている.おそらく誰でもこのような経験歯あると思う.)

大きな感情を伴う

生物の脳は生存すること,繁殖することに最適化されている. 「サピエンス全史」では,誰々が誰と寝たといったような噂話は社会的な生物としての人間にとって生存に重要であり,それを伝達するために言語が発達したと書かれていた.やはり我々は生存に最適化されるよう進化してきた(最適化されていない奴が淘汰されてきた)のだと思う. 生存に関係あることは強い感情とともに印象に残る.記憶力の悪い私でも,交通事故を間一髪回避した時などはヒヤヒヤとか危なっといった感情とともに鮮明に記憶に残る.

また,生存や繁殖とは関係するかわからないが,私の場合は校内マラソン大会で優勝した時,買った株が3連騰でストップ高なった時など,極端に嬉しかった時も記憶に残っている.

他の知識と関連付けられる

大学で専攻していた情報工学人工知能に関する知識はなぜかすぐに覚えられることができて忘れない. これは,すでに持っている他の知識と密接に関係しているためか,脳に重要な情報だと判定されるらしい.

何度も繰り返し使われる

これは有名だが,エビングハウス忘却曲線というものがある. 情報は時間を経るにつれ徐々に忘却されるが,忘却の途中で思い出すことにより,忘却のスピートが徐々に緩やかになっていくというものである.

記憶は何度も短期間に何度も思い出すことで,海馬(パソコンでいうとこのメモリ)から側頭葉(ハードディスク)に移されるらしい. よく使う情報は生存にとって大切なのだろう.

自分なりの記憶に残る読書術

これらを整理して私に合いそうな読書術を考えた.

目的の明確化

本のはじめのページに「現状」と「この本を読んだ後」の差分を意識して,本を読む目的を書き込む. なぜこの本を読むのかを意識することにより,取捨選択の助けとする. また,現状の知識を再確認することで,そこにどう紐付けていけそうかを潜在意識として保持することを期待.

読みながらメモ

読みながら記号や線を書き入れる. 重要箇所などにチェックすることにより,そこにインパクトを付け記憶に残すのが目的. また,思ったことなどを書き入れることにより,感情を保存する.

マインドマップ

キーワードはマインドマップ(トニー・ブザン提唱の方式)に書き込んでいく. 私は,マインドマップには以下のメリットがあると考える.

  • イラストでインパクトアップ
  • 体系付けられる
     - 抽象ー具体
     - ツリー構造
     - 要素の関連
     - 勝手にクラスタリングされる
  • 文章より楽
  • 全体構造を俯瞰できる
  • 個性がでて楽しい
  • 画像として保存しやすい
  • 文章や会話に落としやすい

他にもメリットはたくさんあるが,容易に復習できて体系付けながら整理できるのが良い.

感想

自分の読書方法を見直す良い機会になった.この本を中心して色々な本を読み込むことによって自分なりの方法が確立できた.この本は,読書の本というよりは情報をいかにして活用するかに主眼があり,スケジュール管理などにも応用していたた.私も種々の情報に関して活用法を考えていきたい.

読んだら忘れない読書術

読んだら忘れない読書術

  • 作者:樺沢紫苑
  • 発売日: 2015/04/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

論語〈1〉 (中公クラシックス)

論語〈1〉 (中公クラシックス)

  • 作者:孔子
  • 発売日: 2002/12/10
  • メディア: 新書

幸福について―人生論 (新潮文庫)

幸福について―人生論 (新潮文庫)

トニー・ブザン 頭がよくなる本 日本語第4版

トニー・ブザン 頭がよくなる本 日本語第4版